2009年07月01日

土地の先行取得特例等の上手な使い方(その2)

前回は、土地の長期譲渡所得の1000万円特別控除特例について説明しました

ので、今回はもうひとつの特例である土地の先行取得特例についてご説明します。


これも、平成21年、22年の2年に限定した時限措置ですが、この間に土地を取得

した場合、その他の土地を譲渡して譲渡益が発生しても、課税の繰延べを認めよう

というものです。

具体的には、平成21年に先行取得した場合にはその土地の価額の80%、22年

中の先行取得に関しては60%を限度に圧縮記帳を行って、「他の土地」の譲渡益

課税を繰延べるというしくみです。


ここで先行取得する土地以外の、「他の土地等」については、先行取得土地の取得

時期の前・後いずれの取得であっても構いません。先行取得した土地の取得年から

10年以内の譲渡の要件を満たせば特例の適用が可能です。

ただし、土地を先行取得した年の翌年3月15日までに、特例適用の届出を提出する

必要がありますので、届出の必要のない1000万円の特別控除の特例と混同して

はならないところです。


従って、他の土地を売却するつもりで購入した先行取得土地が、思いのほか価値の

上昇を見たために、資金繰りを優先してこれを譲渡し、1000万円の特別控除特例を

受ける、などという選択は可能ですが、先行取得特例の届出が「選択」の大前提であ

ることを忘れてはなりません。


また、先行取得した土地等を「相続」で取得した場合には、特例の適用はありません。

これは1000万円の特別控除と同じですので、相続を間近に控えており、取得10年

以内の要件も満たしているような場合には、財産評価、分割の容易さ、納税資金の

準備等の観点から、売却して特例適用するかどうかを総合的に判断しなければなり

ません。


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2009年06月30日

土地の先行取得特例等の上手な使い方

平成21年、22年の2年間については、土地を取得することに対するインセンティブ

税制が時限的に置かれています。 適用できるのは法人、個人の両方です。


このうち5年超保有した後に譲渡した場合、譲渡益に対して1000万円の特別控除

が認められる制度について、若干の説明を加えます。


この制度自体、転売による利益確保を前提としたものであるため、開発計画などが

予定され、値上がりがある程度見込める物件を取得するのでなければ、うまみは

ありません。

それでも、5年超経過後に利益が確保できた場合、売り方に工夫をすれば節税幅

は広げることができます。


衆議院財務金融委員会での政府参考人の答弁によって、この1000万円の特別

控除枠がかなり臨機応変に使えることが確認できたからです。

例えば、この2年間に複数の物件を取得し、5年経過後、1年ずつずらして譲渡す

れば、その譲渡の都度1000万円の特例が使えます。同様に、1つの土地を複数

に文筆し、これを複数回に分けて譲渡すれば、複数回1000万円の特例が使える

という訳です。

むろん、それだけの利益が確保できる大規模譲渡でなければ、わざわざ分割しても

節税にはなりませんが。


この特例で注意しなければならないのが、その土地を相続で引き継いだ相続人には

特例を適用することができない、ということです。

ご病気などで相続間近と予測される方が、この特例を選択適用して税引後キャッシュ

を最大限にして相続を迎えられるか、あるいは土地所有のまま相続を迎えられ、やや

低めに評価される土地の相続税評価額を選択するか、は判断の難しいところです。


他の相続財産の種類、評価総額、分割の容易さ、納税資金の余裕などを総合的に

判断して、結論を出さなければなりません。


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2009年06月23日

贈与税非課税枠拡大の留意点

住宅取得資金の贈与を受けたときの、贈与税の非課税枠拡大などを盛り込んだ

租税特別措置法が可決成立しました。

贈与税に関しては、平成21年1月にさかのぼって適用され、平成22年末までの

時限的な適用となります。


暦年贈与ならば610万円までの非課税枠、相続時精算課税制度を選択した場合

には4000万円の特例限度枠が設けられていますが、適用に当たって注意すべき

点を以下に列挙してみたいと思います。


贈与者は受贈者の直系尊属であればよいため、暦年贈与を選択した場合には親

のみならず、祖父母などからでも贈与を受けることができます。この制度の適用範

囲の広いところです。平成17年に廃止された五分五乗方式は両親の祖父母まで

計6名までが贈与者になり得ましたが、それより上の世代も許容範囲内です。


一方注意しなければならないのは、「受贈者」は贈与を受ける年の1月1日現在で、

満20歳以上でなければならないという点です。受贈時点で20歳に達していても、

その年の1月1日時点で19歳ならば適用はできません。誤って申告を行った場合

には税務署から高い贈与税の決定通知が送られてきます


また「居住用家屋を取得するための金銭の贈与である」とみなすためには、以下の

要件を備えていなければなりません。

イ.受贈者が贈与を受けた翌年3月15日までに住宅用家屋等を取得し、居住の用

  に供すること

ロ.贈与を受けた翌年3月15日までに居住の用に供していなくとも、同年12月31

  日までに居住の用に供する見込みであること

つまり、住宅取得のタイムリミットは贈与の翌年3月15日、居住のタイムリミットは

贈与の翌年12月31日ということになります。

例えば、申告を終えた後の税務調査等で、ロの居住要件を満たしていないことが判

明した場合には、当然に修正申告を強いられることになります。

細かな要件を遵守したうえで、制度を選択適用すべきことは言うまでもありません。


最後に注意しなければならないのは、相続時精算課税制度の選択適用です。現行

の3500万円の特例に500万円が上乗せされて、特例限度額がきわめて大きく

なりましたが、相続税の心配をしなければならない方にとっては税負担総額を増や

す結果にもなりかねません。 これがもとで相続人間の争いを引き起こすことも考え

られます。

相続財産の総額をあらかじめ把握したうえで、専門家に相談すべきでしょう。


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2009年06月06日

贈与税納税猶予制度の「読みづらさ」

非上場株式にかかる贈与税の納税猶予について、その基本理念はともかくとして

さしあたり、便利な道具として利用する可能性について検討をしています。


そこで気になるのが、条文の文言が回りくどく、分かりにくい表現を多用している

という点です。取り扱われる財産評価額が多額にのぼるケースが予想されるため、

条文の読み違いや思いこみが致命的な失敗につながりかねません。


昨年の与党税調大綱の文言から、最近の「法律案要綱」まで一貫して使われる分

かりにくい表現として、贈与者が後継者に持株「全部」の贈与を行うことを前提とす

るとしながら、括弧書きで「発行済議決権株式等の総数等の3分の2に達するまで

の部分を上限とする」と記載している点です。


税務雑誌などで 「贈与後の後継者の持株割合が3分の2に達するまでの全部」を

贈与した場合に納税猶予の対象となる、という意味に解すべきだろう、と注釈が書

かれていますが、文理解釈に無理のない分かりやすい表現に代えることができない

のかと思います。


また、上記のように解すとしても、後継者の持株割合の3分の2に達するまでのなか

に、相続時精算課税制度による生前贈与分をカウントしたうえで、納税猶予対象可

能分を3分の2に達するまでの残余分のみに限定するのかどうかについては、措置

法でも確認のとれないところです。


納税猶予という「はしごをはずされる」潜在的な危険性と同時に、相続税の納税猶予

と密接に関連した制度であるため、法令の文言が読みづらく、誤読をしやすいという

危険性もはらんでいることを充分認識して、取り扱わなければなりません。

  
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2009年06月01日

贈与税納税猶予適用後の役員復帰

非上場株式の贈与税の納税猶予制度について、その詳細が徐々に明らかになって

きました。

注目すべき点のひとつは、経営承継継続期間の5年間に、かりに贈与者が役員に

返り咲いたとしても、代表権がなく無給であれば、納税猶予の要件から外れることは

ない、という点です。

対外的な要請などで、やむを得ずお目付役に返り咲くことなどを想定して、政令で手

当されたものですが、これでハードルがだいぶ低くなった印象を受けます。


また、この5年間が経過すれば、贈与者は有給で代表権を有する取締役に復帰する

ことは認められており、受贈者(後継者)に関しても株式の継続保有要件さえ満たせ

ば、取締役を退いてもかまわないことになります。


これでは、「方便」として5年間だけ、贈与者が代表取締役を退くというケースも出て

きそうですが、代表権を実質的に手放しているかどうかは、税務調査において事実

認定の争いとなるおそれがあります。

かりに事実上の代表権を保持し続けたまま贈与税の納税猶予の適用を受け、退職

金の支給も受けていたとすれば、税務調査による否認の被害は甚大になりますので、

安易に体裁だけを整えて節税に走ることは厳に慎むべきでしょう。


あくまでも、復帰の道も閉ざされているわけではないという程度の認識にとどめるべき

です。


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2009年05月27日

提出済みの生前贈与の10%減額特例に注意

相続時精算課税制度を用いて自社株を贈与する場合、その親族の持株比率が50%を

超え、株式時価総額が20億円に満たない場合、「特定事業用資産の減額特例」の届出

書を提出します。

いわゆる「10%特例」ですが、相続発生時に小規模宅地の特例とうまくバランスを取って、

最大限の減額を引き出す「職人技」を要する制度です。


この適用期限が今年の3月末で期限切れになるに伴い、これら贈与済みの株式について、

「相続税の納税猶予の適用に関する届出書」を提出することで、10%の減額特例のみな

らず、相続税の納税猶予への可能性も残すことができるよう手当てされました。

届出書フォームはこちら↓

http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/sozoku-zoyo/annai/pdf/01-01.pdf


この書類の提出期限が、平成22年3月31日であるため、相続時精算課税制度を用いた

生前贈与を行い、なおかつ相続税の納税猶予制度をアドバイスしているようなケースでは、

書類提出の失念は致命的なミスになります。


この届出書提出によって、相続税の納税猶予制度を選択することが義務づけられるわけで

はないので、かつて10%特例の届出書を出したケースは、すべて届出書の提出をするよう

税務雑誌などで呼びかけを行っています。


さて、この10%減額特例は医療法人出資の贈与についても開かれていましたので、多くの

医療法人において、この届出書が提出されたことと思われます。言うまでもないことですが、

医療法人は事業承継税制の埒外に置かれたため、来年3月までに提出が求められる上記

届出書を提出しても、受け付けてはもらえません。


さらに言うまでもないことですが、同届出書を提出できなくとも10%減額は確保されています

ので、相続発生時にはこの点の勘違いもないように気を付けなければなりません。


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