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2007年11月22日

信託法の活用 その2 (税理士法人 福岡中央会計)

前回は信託法の中でも、すぐに使えそうなスキームである「受益者連続

型信託」について述べてみました。

財産の受益権を、自分の死後、妻へ、妻の死後甥へという連続した

スキームを組み立て、これを確実に実行する方法です。


ここで、当然に思い浮かぶのが、自社株の贈与に関する活用ができ

ないものかという疑問です。


これについて、具体的には次のような図を描くことができるようです。

創業者は自ら保有する自社株を第三者に委託し、その受益権につき

「第一受益者」を長男および次男にそれぞれ設定します

長男および次男が死亡した後、経営手腕に優れた甥に受益権を

引き継がせたい場合には、「第二受益者」を甥に設定するという方法

で順次、受益権は移動してゆきます。

この場合、第一受益者である、長男および次男は受益権につき贈与税

の負担が発生し、第二受益者である甥は、長男、次男死亡時に遺贈を

受けたものとして相続税が課せられることになります。

議決権については、その「指図者」を長男に指定し、長男の指示に

基づき議決権を割り振ることができますし、受益者変更権を委託者が

死亡した後、長男に引き継がせることができます。


非常に融通のきく制度のようではありますが、それでは議決権が「可変」

であるような受益権をどのように評価して、贈与税なり、相続税なりの

計算をすればよいのか、今のところ全く不明です。「中心的同族株主」や

「支配株主」などの判定をどうすればよいかさえ分からないからです。


ましてや株式の「元本受益権」と「収益受益権」を分割して、それぞれの

引継順位をバラバラに設定した場合など、税務上のルールが確立した

ところで、極めて複雑な計算が要求とされるものと思います。


「元本受益権」と「収益受益権」の分割については、また別の機会に

触れたいと思います。


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2007年11月16日

新「信託法」の施行 (税理士法人 福岡中央会計)

昨年、国会で可決された「信託法」が、今年9月から施行されています。

これまでにない、新しい類型の信託もあって、税務上の取扱も新しく

整備されつつあります。

新しい類型の信託には、従来の民法の枠組みではカバーし得なかった

将来設計を手助けするものもあり、今後活用の機会が増えるものと

考えられます。

一方で、節税スキームとして非常に有効と思われる信託の活用法も

一部で解説されていますが、その多くは安全に使える手段とはいまだ

断言できません。


今回は、先々の相続の設計図を描くことができる「受益者連続型信託」

について触れてみます。

子供のいない夫婦が、財産をまず妻に、そして妻死亡後は、妻の相続人

でない自分(A)の甥に相続させたいと考えたとします。従来の制度ですと、

Aができることは、生前に一部を妻に相続させ、一部をAの甥に「遺贈」する

という遺言を残すことだけでした。Aの妻に相続させた財産は、甥に渡し

たくても、Aが亡くなっている以上、民法上対応できなかったのです


今回の信託法改正で、Aは財産を第三者(信託銀行など)に委託し、その

受益権をまず妻に相続させ、妻死亡後に甥に相続させるという設計を

することができるようになりました。

妻死亡後、甥に受益権が移行した際、甥はAの妻からの「遺贈」として、

相続税を申告納税することになります。


信託が優れているのは、設計者の意思を先々まで確実に実現してゆく

効力の持続性という点ではないでしょうか。

信託法と事業承継については、引き続きお伝えしてゆこうと思います。


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2007年11月09日

住宅取得資金の相続時精算課税制度 (税理士法人 福岡中央会計)

前回から、平成19年度で終了する税務上の特例についてご説明

しています。

今回は、住宅取得資金を贈与した場合の相続時精算課税制度

についてです。

この特例は、平成19年末までの時限措置として、住宅取得資金

を子に贈与する場合には、相続時精算課税の非課税上限を

1000万円上積みし、3500万円とするとともに、贈与者の年齢

制限をなくする(通常の精算課税制度は65歳以上)という制度

です。

一見、使い易そうな制度ですが、導入当時から「問題有り」と

いわれていました。


親の相続に当たって、相続税納付義務が発生するケースでは、

贈与財産を「贈与時の時価」で相続財産に合算しなければならない

ため、結果、相続財産の評価を引き上げることになり、余分な

相続税の負担を発生させます。

家屋の評価は固定資産税評価額ですので、投資額の6掛け程度

まで引き下げることができます。そして家屋は時の経過とともに

減価してゆくからです。

ならば、不動産は親名義にしたうえで、相続のときに引き継げば

財産評価は下がります。

どうしても贈与したいという場合には、一旦、親名義の家屋にして

通常の相続時精算課税制度を採用し、不動産を贈与すれば、

「贈与時の時価」は固定資産税評価額まで引き下げることが

できます。2回の登記で登記料はかさみますが、相続税負担よりは

低い額にとどまるものと考えられます。


この制度の最大の問題は、親世代の財産を早期に子世代に

移行させ、消費刺激を促すことに注目する余り、親の老後の生活

設計にも、子の相続税負担にも目配りができていないという点に

あると思います。相続税の心配のないケースならば、そもそも

親の生活の犠牲なしに、住宅取得資金を贈与できるケースは

少ないはずだからです

今年で終了する特例ですが、使って良いのは極めてレアケースと

考えた方がよいでしょう。

 
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2007年11月08日

上場株式の譲渡益非課税 (税理士法人 福岡中央会計)

平成20年度の税制改正が、消費税改正をはじめ事業承継税制

など、極めて重要な事項をかかえたまま、なお予断を許さない

情勢であることは、お伝えしているところです。

今回は、上記の「大問題」から一旦離れ、平成19年度中に検討

したい今年度期限切れの特例について触れてみたいと思います。


平成13年11月30日から平成14年12月31日までの間に購入した

上場株式を、平成15年から平成16年までの2年間保有したのち、

平成17年1月1日から平成19年12月31日までの間に証券会社を

通じて売却した場合、購入価額が1,000万円に達するまでのもの

については譲渡益非課税とするという特例があります。


小泉内閣発足当時の「塩じい」が株価上昇を見込んで導入した

制度と申し上げれば、思い出される方も多いのではと思います。

その制度が、今年末までとなっています。


サブプライムローン問題で株価は下落傾向にありますが、平成14年

当時の日経平均株価は1万円前後でしたので、相当額の譲渡益

が期待できるものと思われます

ただし、「源泉徴収有りの特定口座」内で譲渡した株式については、

この特例の適用がありませんので、注意が必要です。


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