医療法人の納税猶予 (税理士法人 福岡中央会計)
顧問先の院長先生のお取り計らいで、医業承継セミナーに出席させて頂き
ました。
非常に充実した内容で、確定申告の合間をぬって出席させて頂いた甲斐
がありました。
大手生保の講師の方は、「あくまでも私見ですが」と前置きしたうえで、
事業承継税制で導入される、自社株80%相当分の納税猶予制度について
ぜひ医療法人にも適用されるべきである、また適用されるように働きかけを
行うべきであると、述べられていました。
まさに我が意を得たりの感があります。
講師の方は諸外国の制度を例に挙げて、自社株の減額措置あるいは
納税猶予制度は、あくまでも 「業を営んでいる」 事実に着目して、その
適用対象を決定しており、同様の基準を我が国にも適用するなら医療業
が排除される理由はない、と仰っていました。
また剰余金の配当をしてはならないという医療法54条の規定によって、
もともと医療法人は内部留保が肥大化しやすく、相続時の課税によって
その矛盾が露呈する体質を持つので、医療法人こそ納税猶予の対象から
外すべきではない、とのご指摘もありました。
さらに現行税制で10%評価減が認められている、「特定(受贈)同族会社
株式等」では、医療法人はその対象とされており、この制度の導入時期に
医療法人が含まれた経緯なども引いて、納税猶予制度にも同様のことを
期待したい旨のことを仰っていました。
私も、確定申告期の実務で、「特定受贈同族会社株式等」の特例を使った
ばかりですが、この制度のなかに医療法人が含まれるのに、なぜ納税猶予
制度が不適用になる可能性があるのか、実務家の感覚として全く納得が
いきませんでした。
納税猶予制度が医療法人に対しては認められないだろう、とされるご意見の
根拠は、その対象がいわゆる「経過措置型医療法人」であって、あくまでも
例外的な法人類型であるので、法改正によって例外部分をすくい取ることは
ないのではないか、というものであると思います。
しかしながら、改正医療法施行に当たり厚労省職員が全国の医師会等主催の
説明会で、財産権の保証される「当分の間」とは、事実上「半永久的」ととらえて
もらってよいと説明してきた事実との、かねあいはどうなるのでしょうか。
医師会等への説明会からまだ1年しか経過しないというのに、法の基本姿勢
について重大な変更を加え、そのうえで納税猶予制度に対して消極的な立場
をとるのだとすれば、そもそも改正法は社会的に「承認」されうるのでしょうか。
「納税猶予」と「評価減」は制度の枠組み自体が異なり、同様の取扱を期待でき
ないという意見も説得力に欠けると考えます。法がいま現に社会が直面している
問題に公平・適切に対応しうるか、この一点から虚心に議論を重ねるべきでは
ないでしょうか。
厚労省、そして願わくば医師会の責任ある方々は、ぜひ納税猶予制度の医療
法人への適用を実現すべく、力を注いで頂きたいと痛切に感じます。
マスメディアにおいても、ネガティブな推測記事は百害あるのみと申し上げたいと
思います。
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