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海外居住をめぐる東京高裁判決

東京高裁の下した、納税者勝訴判決をもうひとつご紹介します。

海外居住者の財産移転に関する税務および判例は、極めて厳しい判断

が下されていました。 弊事務所HPコラム欄でもご紹介した、武富士の

株式贈与事例では納税者の逆転敗訴となり、1,330億円という個人では

過去最高額の追徴課税が課す判決が下されています。

  弊事務所コラム欄はこちら ↓
  http://www.amplan.net/fctax/column/column.html


今回の事案(今年2月28日判決)では、シンガポールに居住していると

して、海外で株式譲渡を行ったキャピタルゲインにつき、譲渡所得の申告

を行わなかった原告に対し、課税庁が「日本国内に住所を有する」もので

あるとして課税処分を行い、これについて争われていたものです。


東京高裁は、所得税法に言う「住所」を「各人の生活の本拠を指す」とした

うえで、当該事案では日本国内に住所があったとは認めらないと判示し、

納税者勝訴の判決を下しています。

武富士事案との違いは、シンガポール移住に当たって日本国内の住居を

引き払っていること、生計を一にする家族が日本国内に居住していないこと

などが挙げられます。


しかしシンガポール滞在日数に関して言うと、厳密に過半数を当地で滞在

していると言い難い面もあり、判決自身が述べるところの原則、即ち「租税

法が多数人を相手として課税を行う関係上、客観的な表象に着目して画一

的に規律せざるを得ない」 という原則に照らしても、他の類似の判決との

違いがことさらに浮き立つ判決となっています。

ところが課税庁はこの事案について上告を断念しており、判決は確定してい

ます。

今回の判決を受けて、納税者が最高裁に上告している武富士事案の行方が

注目されますが、実務において今回事案の安易な応用は極めて危険と判断

した方がよいでしょう。


資産課税の一層の強化などの方向が打ち出されれば、課税庁は必ず租税

回避の可能性をつぶす手段を強化することになります。

平成20年度税制改正でも、国外送金等に係る調書の提出対象を、200万

円超から100万円超に引き下げて、海外への資産移転に対し予防線を張ろ

うとしています。


今回の事案は、住居のみならず職業、生計一の親族、資産の所在等を総合

的に判断し、極めてまれに海外居住が認められたケースであると認識してい

た方がよいと考えます。


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