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租税回避に対するアプローチの変化

海外居住をめぐる判例に、差異が生じ始めていること、最近の判例では

滞在日数には厳密にとらわれず、納税者に有利な判決が下されたことを

お伝えしました。


滞在日数という形式基準には、さほど重きが置かれず、職業、生計一の

親族、財産状況等を総合的に判断すべしというのが、シンガポール事案

の判決のスタンスでした。


納税者に極めて厳しい判断を下した、武富士事案の東京高裁判決でも

客観的事実における総合判断において、滞在日数に対するウェイトは軽

くなっていました。そして逆に重きを置かれていたのが、「居住意思」に

対してでした。

また、武富士事案では、客観的事実よりも租税回避の意思に特に着目

して判断を下しており、これが「一般的な否認」であるとして批判を受けて

います。

つまり具体的な否認規定を参照することなく、その意思や目的に着目して

特定の行為を否認するに等しい、という批判です。


納税者の選択した法形式にかかわらず、その経済実態に応じて課税する

規定を「一般的否認規定」といい、カナダ、オーストラリア等の諸外国では

租税法に明文化されています。

わが国の国税通則法制定時には、同様の規定の導入が検討されました

が、結局見送られ、法人税に「同族会社の行為計算否認」という類似の

規定が盛り込まれるにとどまりました。


特定の基準にとらわれることなく、事実を総合的に判断する、というとき

勢い当事者の主観的な領域に、過度に踏み込むことが考えられます。

この場合、「一般的な否認」へのハードルも、低くなってしまう可能性が

あります。


判例は大きく揺れていますが、法改正がなされない段階で、成し崩し的

に、一般的否認の定着することがあってはならないと考えます。


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