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2008年08月30日

定額減税の導入

昨日(29日)政府・与党は「総合経済対策」を決定し、今年の所得税と

住民税から一定額を差し引く「定額減税」を1年限りの特例として、盛り

込みました。


定額減税と言えば、ちょうど10年前橋本内閣において当時の金融危機

に対処すべく、導入されたことを思い出します。


まさに時計の針が、ひとまわり逆戻りしたかのような感覚を覚えます。


赤字国債を発行してこれを財源にすることは避ける、との方向ではある

ようですが、減税規模によっては反故にされる可能性もあります。

少なくとも財政再建を放棄したかの印象を対外的に与えることは避けら

れず、いずれ長期金利の上昇というかたちで、日本経済に悪影響を及

ぼすことが予想されます。


年末にも総選挙をにらむ、公明党の要求を呑まざるを得なかった、という

報道ですが、このような「内向き」の政策決定の積み重ねが、わが国の

国際社会における影を薄くしてきたことは、いまさら言うまでもないことだ

と思います。


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2008年08月29日

事業承継税制の柔軟化

経済産業省が、自社株相続にかかる「納税猶予税額」が免除される、

「一定の場合」につき、会社倒産の場合や、次々世代への株式贈与

を行った場合などを含めるよう、平成21年度税制改正への改正意見

で述べていることは前回お伝えしました。


従業員の継続雇用を、経営承継円滑化法の基本的な目的ととらえる

経済産業省は、会社の倒産などに例外規定を認めると、偽装倒産を

誘発するなどとして、当初、制度の柔軟化には反対の意向であったと

伝えられます。


制度をできるだけ使いやすい、受け入れやすいものに仕上げて、来年

春の円滑な法制化を目指していることがうかがわれます。


新党成立、民主党切り崩しの動きなど、政局も動き始めています。


来年の税制改正は、政局を含めた法案成立のハードルいかんで、

相続税制の抜本改正を含んだ、ドラスティックな改正になることも

十分考えられます。


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2008年08月27日

納税猶予税額が免除される場合

昨日(26日)経済産業省は、自民党経済産業関係合同会議において、

平成21年度税制改正に関する経済産業省意見を明らかにしました。


そのなかで注目されるのは、自社株の「納税猶予制度」の使い勝手を

良くするための具体的な制度が盛り込まれている点です。


まず、5年間の事業継続期間が終了した後に、納税猶予税額が免除

されるケースにつき、以下のような場合を列挙しています。

・会社が倒産した場合

・次の後継者に納税猶予対象株式を贈与して事業の継続を図る場合

・納税猶予対象株式の時価が猶予税額を下回る中、当該株式を譲渡

 した場合


1番目と3番目のケースは、会社の業績が極端に悪化し、事業承継の

前提が壊れてしまったケースですので、当然の手当であると考えます。

2番目のケースも、継続的な事業承継のためには、不可欠の手当です。


さらに経産省の「改正意見」は以下のように続けます。


相続時精算課税を利用して株式を生前贈与する場合への、相続税の

納税猶予制度の適用を始め、株式の生前贈与を促進するための税制

措置を講ずる。


株式の生前贈与を促進するための措置、とされている以上、贈与時の

「時価」についても80%相当のマイナス評価がされることを期待したい

ところです。


いずれにせよ相続発生時のピンポイントではなく、継続的な事業承継

を視野に入れた制度作りを心がけていることは、「改正意見」から読み

とることができ、安心できる材料ではあります。


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2008年08月20日

医療法人の事業承継税制からの除外について

経営承継円滑化法の政省令案がパブコメにかけられ、その締切が8月26日

に迫りました。


自社株式の相続にかかる納税猶予制度については、医療法人をはずす方向

で政省令案がまとめられています。

経済産業省は医療法人をはずした経緯について、「厚労省より要望があがら

なかったため」との説明をしている、という情報もあります。


事業承継税制は、自民党内部会の努力によって議員立法で成立した経緯が

あります。 いわば財務省の基本方針とは別の、「政治力」で誕生した法制と

言うことができます。

納税猶予制度そのものについては、様々な批判が向けられてはいますが、少

なくとも納税者の選択肢が増えたことは事実であり、その効果が極めて大きい

ため、制度の創設自体は歓迎すべきことであると考えます。

納税者には、思わぬチャンスが与えられたのです。


これに対して、厚労省は要望さえ提出しなかったこと、経産省としては要望が

ないことを幸いに、堂々と医療法人を制度からはずすことができたことについて

は、何ともやりきれない思いがします。


医療法人への制度適用に対して、一縷の望みを託したいところですが、状況は

極めて厳しい模様です。


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2008年08月15日

役員退職金の功績倍率について

役員退職金の算定方法で多く用いられるものに、功績倍率法があります。

「最終報酬月額×勤続年数×功績倍率」の計算式で算出する方法で、

通常、功績倍率が3程度であれば税務上の問題はないとされてきました。


最近の税務調査において、3倍をやや超える程度の金額でも、類似比較

法人の平均値と比較して、過大であるとの指摘を受けることがあるとの話

を聞いていましたが、今回の国税不服審判所裁決事例で、役員退職金に

対する、当局の厳しい対応を改めて確認することができます。


創業者代取、およびその妻の創業以来の取締役に対し、功績倍率をそれ

それ3.6倍、3.3倍と設定し役員退職金を支給していたケースで、課税

庁はサンプルとして4社を抽出し、その平均値が2.2倍であることから、

両者の支給額を過大としていた事案です。

会社側はサンプル会社が不明であり、4社とサンプル数が少ないこと、課

税庁が主張する功績倍率が過去の判例や裁決事例と比較して低率である

ことを主張して異議を申し立てていました。しかし審判所はサンプル会社の

選定は適正であり、そのうち特殊事情をかかえる1社を除外すると、功績

倍率は1.9倍になるなどとして、課税庁の処分を認めました。


平成12年札幌高裁の判決では、サンプリング調査の結果、3.9倍を適正

と判示しており、サンプルの「平均値」ではなく比較法人の支給額がすべて

適正であるならば、最高功績倍率を採用することに問題なし、としていた点

に鑑みても、今回の裁決は納税者にきわめて厳しいものとなっています。


個別事情で、類似比較のサンプル会社の功績倍率が極めて低くならざるを

得なかったのかもしれませんが、審判所の1.9倍という数字もわれわれの

常識から大きくはずれたものと言わざるを得ません。


少なくとも支給額の結論ありきでスタートし、功績倍率3倍程度なら大丈夫

とたかをくくるのは、危険なことと認識しなければならないのでしょう。

会社への貢献度という、極めて数値化しづらいものを、あえて細かく数値化

する努力をし、会社実態との照らしあわせを行わなければなりません。


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2008年08月08日

資産管理会社等の例外ケースについて

中小企業庁が7月28日、経営承継円滑化法に関する政省令案を、パブリック

コメントにかけたことは既にお知らせしました。

この政省令案については、財務省の了解も得ているとの報道もあり、公表され

た政省令案の方向で、法制化が進むものと考えられます。


資産管理会社や資産運用会社は、事業承継税制を利用した「租税回避行為」

につながりかねないため財務省としては当初から警戒をしていましたが、例外

を認める「みなし規定」が盛り込まれることで、制度の弾力的な活用が可能に

なるかもしれません。


例えば医療法人に併設されたメディカルサービス法人 (MS法人)は3年以上の

事業継続、5人以上の常時使用と、資産の賃貸以外の所定の行為を行う要件を

満たすことで、事業承継税制の恩恵を受けることができます。

医療法人がおそらく事業承継税制からはずされることに鑑みて、このMS法人を

活用するスキームが増えるのではないでしょうか。


今後新規に開設される医療法人は「出資持ち分のない」法人、すなわち財産権が

極めて制限された法人でしかない以上、MS法人で財産権を確保しようという選択

は、合理的なものであると考えられます。


また経過措置型医療法人において、将来の設備投資に向けて内部留保をしようと

しても、事業承継税制の適用がなければ、相続税で事実上、資金は外部流出して

しまうことになりかねません。  そこで事業承継税制の適用があり、安心して内部

留保できるMS法人に、資産を保有させようとするのも、しごく当然の判断であると

考えます。

そして、上記いずれのケースでも、結果として相続税の節税が図れるのです。


もっとも、医療法人の理事長と、MS法人の代表者が同一人であることは好ましく

ないため、上記スキームにはおそらく配偶者や、医業承継者以外の子(養子を含

む)が登場することにはなるのですが。


財務省はこのような動きを十分に承知のうえでゴーサインを出しているのでしょう。


制度設計を上手に行った場合には、新制度の恩恵を認める一方で、気の利かない

人には恩恵が行き届かなくとも構わない、という対応と言えば、厳しい言い方でしょ

うか。


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2008年08月06日

税制改正大綱は今年も12月中旬予定

平成21年度の与党税調大綱は、例年の12月中旬より前倒しで発表すると

見られていましたが、例年通り12月中旬に落ち着くことになるようです。


衆参の「ねじれ国会」によって、平成20年度税制改正法案の国会通過は、

今年4月にずれ込み、法令の空白期間が生じました。この轍を踏まないよう

大綱発表および法案提出を前倒しして、60日ルールで来年3月末までに改

正法案を通してしまおうという目論見が、ここにきて頓挫してしまったようです。


各省庁は、与党大綱策定に向けて「税制改正要望」を提出し、税調大綱発表

までに厳しい政治的なかけひきを行います。

しかし3月までに成立しない可能性がある、あるいは却下されてしまう可能性

がある法案に、重要項目を盛り込むことには、各省庁とも抵抗があり、重要な

改正項目は先送りされるのではないか、との見方が広がっています。


消費税については、総選挙まで口を閉ざすという了解ができました。


相続税についてはどうなるのでしょう。 民主党の平成20年度税調大綱には

与党の掲げる「遺産取得課税方式」ではなく、「遺産課税方式」すなわち米国

のように遺産総額に対して課税する方式が掲げられていました。大きな議論

とはなっていませんが、少なくとも基本方針に隔たりがあります。


今年10月に適用が決まっている「事業承継税制」に併せて、相続税の大改正

は断行するのか、あるいはかつて経産大臣が「相続税の抜本改正を納税猶予

制度の前提としない」と発言したように、大改正を見送るのか、全く予断を許さ

ない状況となっています。


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