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2008年09月30日

移行時の相続時精算課税制度の困難(2)

相続税制の大改正を前に、生前贈与に関するアドバイスについて非常に

困難を感ずることを、以前お話ししました。


法定相続分課税方式においては、生前贈与によって相続財産総額を減少

させることが、相続人全員の税負担を引き下げることになり、相続人全員

にとって有利な内容として、生前贈与を提案することが可能でした。


ところが、相続人各人の取り分に対して課税される遺産取得課税方式に

おいては、生前贈与に関する相続人間の利害は、単純に相反する関係で

しかありません。 生前贈与にあたっては、遺産分割の際にトラブルになら

ぬよう、事前の話し合いをお勧めする「争続」回避のアドバイスをまず第一

に考えるようになります。


また相続税・贈与税の税率や、生前贈与した財産を相続財産として再認識

する「持ち戻し」の期間がどうなるかによって、相続時精算課税制度と暦年

贈与制度のいずれが有利かについて、明確なアドバイスもできません。


新税制の基礎控除の額が、2500万円以下となるかどうかが不明な現状

において、相続時精算課税制度が税負担の心配なく、次世代に財産を移転

できる便利な方法、という説明もできません。充分な説明を怠ると、本来なら

不要な相続税申告義務が発生したり、財産価値の目減りに比して、税負担

が大きすぎるなどの、納税者の不満を誘発することになります。


現在は、正確なことは申し上げられないとまずはお断りしてから、数パターン

の可能性について、相談者に対してお話しするように心がけています。


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2008年09月26日

遺産取得課税方式の遡及について

来年度の税制改正において導入される予定の、遺産取得課税方式

を含む相続税制の抜本改正については、今年10月1日に適用開始

となる事業承継税制に合わせて、事業承継税制を選択した相続に限

り、遡及適用されることが検討されています。

   詳細は弊事務所コラム欄8月号をご参照ください↓
   http://www.amplan.net/fctax/column/column.html

そこで、不利益不遡及の原則に照らして、新税制を適用した場合に

不利益を被る相続人については、時限的に新税制と、法定相続分

課税方式の現行税制のいずれかを選択適用することを認める制度

設計を、当局は検討しているという報道がされていました。


ところが、最新の情報では、事業承継税制を選択する相続において

は、事業承継者のみならず他の相続人も、新税制適用に同意した

ものと考えることができるとして、当局は新・旧相続税制の選択を

認めない方向で、調整を図っているとのことです。


事業承継税制の施行が今年10月1日であり、新相続税制の全貌

が明らかになるのが今年12月中旬、そして新税制を適用した場合

の比較検討に、専門家の意見を聞くなどの相当期間を要すると考え

ると、納税者に不利益遡及なしとも明言しかねると思うのですが。


ともあれ新相続税制の導入の足音が、間近に迫っていることは確か

なようです。


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2008年09月25日

遺留分に関する民法特例 (2回目)

遺留分に関する合意が比較的フレキシブルな選択を許容するもので

あることを前回お伝えしました。

しかしながら、遺産分割という極めてデリケートな問題について、家庭

裁判所の許可を取ってまで、合意をかたちあるものにするのですから、

当事者の権利義務関係には、制度、運用面の双方で神経を使う必要

があります。


例えば、「固定合意」では合意以後の株価の上昇は、遺留分の基礎に

カウントしません。そして株価が下落した場合にも後継者のために特別

の配慮をすることもありません。

これは後継者が会社の実状を最もよく知りうる立場にあり、後継者主導

で合意に導くものであるため、株価下落のリスクは後継者が負うべきと

の考え方によります。


しかし、例えば「固定合意」後の株価下落に際し、後継者が合意の効力

を消滅させた方が有利であると考え、株式を売却してしまうなどという

ケースも想定されます。


経営承継円滑化法では、その際の措置について当事者の判断に委ね

る旨規定していますが、かりに後継者に極端に有利な合意である場合、

家庭裁判所の許可が下りないなどの可能性もあります。


合意文書作成にあたって注意しなければならない事項です。


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2008年09月24日

遺留分に関する民法特例 (1回目)

事業承継税制(自社株式の相続税評価にかかる80%納税猶予)は、この

10月1日以後発生の相続から適用が開始されます。

そして経営承継円滑化法の、もうひとつの柱である、遺留分に関する民法

特例の施行は来年3月1日とされています。


条文を読んだだけで、具体的な適用方法をイメージすることは難しいのです

が、法制担当者のインタビュー記事なども掲載されるようになり、活用方法

も検討可能になってきました。


条文上は、民法特例につき後継者の所有する議決権が、「議決権の百分の

五十を超える数となる場合」には適用なし、とされています。

これは法の施行前であっても、旧代表者から贈与を受けた分については除外

して議決権をカウントするという趣旨であって、後継者みずからが出資し50%

を超える議決権を所有する場合のみ、民法特例の適用なしと判断しなければ

なりません。


また除外合意(自社株を遺留分の計算から除外する)、固定合意(合意時点

での株価で遺留分を計算し、その後の株価の伸びは遺留分の計算には入れ

ない)、そして追加合意(除外合意または除外合意があった場合のみ、株式

以外の財産も遺留分から除外しうる)、の3合意は比較的フレキシブルな組み

合わせが可能です。


例えば、自社株の30%部分は除外合意とし、20%部分は固定合意とする、

という組み合わせができますので、古くから所有する持ち分については固定

合意とし、新たに贈与を受けた分については除外合意とする、などの判断も

可能になります。

追加合意は、自社株以外の事業用不動産や、代償金として非事業承継者

へ支払う約束のキャッシュなどを遺留分からはずすことで、経営承継と話し

合いの両方を円滑化することが可能になります。


適用が間近に迫った「事業承継税制」に関心が向きがちですが、関与先

からの相談に様々なオプションを提案できるという点で、民法特例の詳細

は税理士として必須の知識であると考えます。


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2008年09月22日

移行時の相続時精算課税制度の困難について

相続税対策のご相談を受ける際に、最近もっとも困難を感じるのが、相続

時精算課税制度を利用した生前贈与の問題です。

従来の「法定相続分課税方式」に代わって、新たに「遺産取得課税方式」

が確実に導入されるのか否かが、確定的でないために生じる困難です。


例えば、親と子が同居する不動産の生前贈与については、小規模宅地の

特例が適用され、極めて低い評価で相続を迎えることができるため、相続

時精算課税制度を利用した生前贈与は、避けるようアドバイスを行ってき

ました。

従来の「法定相続分課税方式」ですと、相続時に生前贈与時の高い評価

での「持ち戻し」が発生した場合、他の相続人にも相続税負担の増加という

デメリットが生じるため、将来起こりうるトラブルを回避する必要があったか

らです。


しかし「遺産取得課税方式」への移行によって、相続時に高い税負担が

発生しても構わないという、当該相続人の了解があるのだとすれば、生前

贈与を思いとどまらせる理由は見あたりません。


他方、収益物件を生前贈与する事によって、本来、被相続人が取得すべき

であった収益が、次世代に移行するため、全体の相続財産が減少し、ひい

ては、相続人全員の利益になることから、従来の相続税制には生前贈与を

提案しやすい環境がありました。


ところが、遺産取得課税方式では、遺産総額の減少は、相続人全体への

反射的な利益にはならず、単に「取得する可能性のある財産」を目減りさせ

ることにしかなりません。

つまり、生前贈与を提案しにくい環境ができてしまいます。


相続税制の改正の眼目のひとつが、高齢者の保有する財産を早めに次

世代に移行させ、経済活性化とこれによる老後扶養の社会化の下支え

をすることにありました。


遺産取得課税方式が、結果的に生前贈与を抑制させる効果があるのだと

するならば、フランスやドイツのように贈与税率の大幅な引き下げと、相続

時の「持ち戻し」も視野に入れるべきではないかと考えます。


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2008年09月19日

「基準地価」公表される

昨日18日、国土交通省は全国の基準地価を公表しました。


7月1日時点での地価を表した数字だけに、サブプライムローン問題以後の

不動産市況の冷え込みを、直接反映した数字になっています。


  国土交通省発表はこちらから ↓
  http://www.tochi.nla.go.jp/chika/index.html#chousa


1月1日時点での時価に基づく「路線価」がこの7月公表されていましたが、

半年遅れの公表のため、地価下落の実相をとらえきれていない、との指摘

もありました。


ちなみに福岡市内の住宅地のひとつを取り上げて比較してみると、「路線価」

が平成19年度から平成20年度にかけて3.6%の上昇を見せているのに対し、

同一地点の「基準地価」の伸び率は2%に過ぎませんでした。


平成20年中に発生する相続の申告にあたり、各国税局発表の「路線価」が

時価から乖離し、これが課税庁とのトラブルを誘発することも危惧されます。


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2008年09月17日

相続財産未分割の場合の申告方法

遺産取得課税方式について、相続財産が一部未分割の場合の申告方法

に関しては、分割の確定している一部についての申告ではなく、法定相続

分で分割したと仮定した場合の、各相続人の遺産取得額に対して、税額を

算出し、申告・納税を行わせる方法を当局は検討しているようです。


昭和25年から昭和32年まで、わが国でも遺産取得課税方式による、相続

税の申告が行われていましたが、この間に最も問題となったのは、税負担を

抑えるために「仮装分割」が横行したことであると言われています。


長子が相続財産のほとんどを相続したにも関わらず、あたかも均等な分割を

行ったかのごとく装って申告するケースが後を絶たなかったというのです。


遺産取得課税方式で最も相続税負担の低い分割方法は、法定相続分に

よる分割であると考えられます。

そうすると、未分割の相続税申告を行い、これを放置する「仮装未分割」の

ような方法で租税回避を図ることも想定されます。


遺産取得課税方式は基本的に、財産のデータベース化を不可欠のものと

しているのだと、つくづく感じます。


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2008年09月12日

経営承継円滑化法施行規則 公表される

去る9月5日、経営承継円滑化法の施行規則が公表されました。内容は

すでにパブコメで公表されている通りとなっています。


事業承継税制の適用を受けるためには、評判の悪い「従業員8割以上の

継続雇用」などの要件を満たすほか、事前に経産大臣の認定を受ける必

要です。


ただし、制度開始早々の 平成20年10月1日から 22年3月31日までの

間に発生した相続については、事前に大臣確認を受けることは困難である

ため、救済措置が設けられます。

つまり、後継者が相続前に役員に就任しているなど、計画的な取組みが行

われていたと認められる場合には、事前に大臣の確認を受けていたものと

みなす、とされています。

また、被相続人が60歳未満で死亡した場合については、一般的に計画的な

取組みを行う年齢に達していないと考えられるため、この場合は大臣確認を

不要とする旨、定められています。

その他、省令では申請書の様式も公表されており、早めの確認が必要です。


思えば、もう半月も経過すれば、その後に発生した相続に事業承継税制が

適用されます。 新税制の適用も念頭に置いてご提案を行うべき、相続事案

もさっそく登場することと考えられます。


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2008年09月08日

遺産取得課税方式と情報収集

新しい遺産取得課税方式を導入した相続税制では、相続財産が未分割

の場合など、相続財産の全体を把握することが困難な場合に、相続税の

申告者に対して相続財産全体の情報を提供させるよう、当局が検討して

いるというお話を、前回いたしました。


利害関係の相反する当事者に、相互監視、相互密告のような仕組みを

作り上げることが目的であるとすれば、言語道断ですが、当局の意図とは

別に、遺産取得課税方式そのものが、相続発生後の遺産取得額にとどま

らない、広範な情報を必要としていることは事実です。


遺産取得課税方式とは、具体的な相続人が財産をいくら取得したのかに

着目して課税する制度であるため、生前贈与によって取得した財産も、

相続財産にカウントしようと考えます。

同制度を採用するフランスやドイツでは、相続発生前10年間の生前贈与

で移転した財産は、相続財産として再認識して相続税を計算しています。


このような徹底した課税を行うためには、コンピューターシステムを利用して

財産の名寄せを行うなどの作業が必要ですが、この点については当局は

まだ、その機は熟していないと判断しているようです。

基礎控除の範囲内の相続財産を取得した相続人には申告義務を求めない

などの方針が当面採られるとの情報から、そのように読みとれます。


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2008年09月05日

遺産取得課税方式の申告手続きについて

遺産取得課税方式の相続税申告に関しては、各相続人の取得した財産

についてのみ課税の対象となるため、申告方法は各相続人単位で行え

ば特段の問題はない理屈です。


ただし、これでは相続財産が未分割の場合など、遺産分割協議書の

添付ができない場合には、相続財産の全体像を課税庁は把握できない

ことになってしまいます。


当局はこのような場合に、相続人全員による「共同申告」という手続きを

踏むよう税理士会に打診していましたが、そのようなケースでは相続人

間で争いがある場合が多く、実現は困難として却下されてました。


そこで当局は相続税の申告に際して、相続人に相続財産全体に関する

情報を提供させる申告方法を採用すべく、検討しているとのことです。


利害関係の相反する相続人の各人に、別々に全体情報の提供をさせる

訳ですので、当局としてはより「濃密」な情報を獲得することができます。

生前贈与に関する情報や、名義預金、名義株式などの情報を、調査権

を使わなくても手に入れることができます。


あざとい手段を使うものだという感想と同時に、遺産取得課税方式導入

の準備ももうここまできている、という感想を抱きます。


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2008年09月03日

選挙対策としての総合経済対策

自民党総裁選は今月10日告示、22日投票決定と決まりました。24日に

召集が予定される臨時国会で、各党マニフェストが明らかにされたうえで、

解散総選挙に突入する、との見方が広がっています。


先日、総合経済対策に「定額減税」が盛り込まれたばかりですが、これを

機に、各党ともタガがはずれたように減税合戦を繰り広げる可能性があり

ます。


とりわけ民主党はガソリン税の暫定税率廃止を前面に打ち立てるでしょうし、

所得税の減税措置は、自・公の定額減税がかすんでしまう対案をぶつける

ことが予想されます。

これに積極財政路線の麻生氏が応じるのですから、両党の相乗効果で減税

規模はふくらみ、財政再建は一気に遠のくと覚悟しなければなりません。


いずれ減税を焦点に論争をおこなうのであれば、国際社会で最も高い税率

のまま放置されている法人税率の引き下げについても、堂々と議論をして

もらいたいと考えます。


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